くらしにインテリア球根を「Glass Bulbs」展

日本橋とやま館 展示設営

2019.2.10 - 2019.2.17

©︎TOKYO TENDER TABLE

​グラスバルブスを観察することからアイデアを作り出す

チューリップ・ヒヤシンスの水耕栽培キット「グラスバルブス」は、富山県花卉球根農業協同組合様のオリジナル商品として製品化され、2019年2月に日本橋とやま館にて広告展示及び販売を行う経緯となりました。

グラスバルブスは、発芽した球根から育てるチューリップの水耕栽培として新たな試みとなります。富山県花卉球根農業協同組合では、商品として生産するまでに球根の中にある花芽を顕微鏡で観察し、最適な温度で生育し発根処理を行なっています。

 

グラスバルブスの中には、球根を固定するための剣山が入っています。剣山は、根を水に浸すため下向きに突起が突き出しグラスの底から高さを保ち直立しています。なお、上向きに球根を固定し水に浸らないための凸の部分が上に突き出る構造となっています。剣山は、球根から伸びる茎を支えるためグラスバルブスの器にフィックスするすように設計されています。

​水耕栽培キット「グラスバルブス」の美しさを引き立たせた剣山型テーブル

グラスバルブスの展示デザインを考える上では三つのコンセプトを決め、デザインを進めました。

 

1、各種の球根の根も含めた育成過程を見せること。

2、とやま館の高貴な雰囲気に調和すること。

3、現場施工時間を4時間で出来上がるデザインにすること。

 

1:グラスバルブス内に咲くチューリップの花は小さく、日本橋の大きな空間で展示する際には、目線の高さにまでグラスバルブスの器の高さを上げて顔の近くでグラスバルブスを鑑賞できる必要がありました。テーブルに置いた700mmの高さでは、グラスバルブスの上部からチューリップを覗くこととなり、球根部は観察できません。そのため顔の近くで花を見ることができるように1000mm~1500mmの高さで球根や根、茎や葉など花の蕾を見ることができるよう配慮しました。また、グラスバルブス内の球根の種類は異なり、花の咲く高さが異なることから、隣のグラスバルブスと干渉しない間隔を一定に保ちながら、高さにも段階をつけることにしました。

直立した木の支柱に貼り付けたグラスバルブスの配置と、グラスバルブス内に入った剣山が球根を直立させる利用目的が同じことから、「剣山型テーブル」と名付けました。剣山型テーブルのデザインは、水耕栽培に適した剣山を作り上げた富山県花卉球根農業協同組合様の卓越したチューリップの知識をオマージュしたデザインとなりました。

また、木の支柱に配置するグラスバルブスの高さは設計の段階で大中小程のグループで分けましたが、実際の木の支柱に対するグラスバルブスの選定には富山県花卉球根農業協同組合の藤岡様に花の種類が隣り合わせにならないよう、花の咲く時期や期間内に伸びる芽の成長する高さなども考えながら配置をお願いしました。

2:とやま館は既に凛とした大人な雰囲気を持つ建物であるため、どのように空間に溶け込ませながら、注目するデザインを作り出せるかを考えました。剣山型テーブルは、内装の木材のイメージと調和を保つため、黄色い杉材を選定しました。なお、展示室内の格子イメージ同様シンプルな構造を意識し、木とグラスバルブスに扱われているアクリル素材のみで構造を考えました。アクリル材は、直立した木の角材の揺れを固定し支えるための梁の役割をした部材となっています。

チューリップをバレンタインデーのプレゼントに!

また、展示期間にバレンタインデーを挟むため、催し自体を展示内に取り入れ、建物外部からも視認できるデザインを施しました。まず、バレンタインデーの赤いイメージとチューリップのイメージを掛け合わせたグラフィックを考えました。デザインの設計は、日本橋とやま館の整理された空間に落とし込むデザインにするため、幾何学で単純な構造にしました。具体的には、チューリップの6枚の花びらを真横から見た際、3枚の花びらが重なり合う構成となり、チューリップの形の中にハートのイメージを同時に取り入れるデザインとしました。展示内には、このチューリップのデザインを大中小と三つの大きさに分け、空間全体に散りばめることにしました。次に、建物の向かい側の道路から覗く人にも、歩道を横切る人にも意識してもらうために、モビールという装飾にすることで空調機の風によってチューリップの形が回るようにデザインしました。

3:展示作業は、本展示の前に開催された展示物の解体後に始めるため、20時から24時までの4時間となりました。

​展示施工の時間の短縮は、予算の縮小化と現場での施工を減らす組立式のデザインを考えるキッカケとなりました。剣山型テーブルは、アクリル部分の水平を保つための支点を6点作り、他の支柱となる木材は全て既存の机と両面テープの固定のみとすることで施工時間の短縮を実現しました。実際の現場で見つかった課題点は、既存什器の水平墨出しの難しさも体験することとなりました。

また、展示室内を彩るモビールも現地では定められた場所に掛けることで施工時間の短縮を図りました。ただし、モビールの数が多いため、日本橋とやま館職員の野田様を筆頭にした皆さま、富山県花卉球根農業協同組合の藤岡様、橋下様、プロデューサーであるワールドリー・デザイン明石様、田村様のサポート頂くことで展示設営を時間内に完成することができました。

展示作業は深夜に終え、翌朝を迎えた展示室には、朝日を浴び多くのグラスバルブスの花たちが開花しだしました。開館時には、日本橋とやま館の来館者を歓迎するように優しい香りで空間を包み込みました。

​設計時には思い付かなかったのですが、グラスバルブス各種をよく観察することができる剣山型テーブルの配置は、各種類の花の香りも確認できる展示形態でもありました。

最後に、今回の展示室で、二つのサイネージが使用できることから、花の成長を見る楽しさや美しさを伝えるための動画を作ることを弊社から提案しました。一つは建物入口のサイネージとなり、日本橋を歩く人に向け短い時間内(24秒)にグラスバルブスの花の美しさを表現する接近した画角と花の開花の瞬間を捉えた映像を流すことにしました。

もう一つは館内のサイネージで、来館者および日本橋とやま館で働く人たちにも展示主催者である富山県花卉球根農業協同組合様の働きを知ってもらうため、映像制作を試みました。実際に富山県砺波市の富山県花卉球根農業協同組合様を見学し、本プロジェクトリーダーの島田様のもと、多くのチューリップに関する現場のレクチャーと砺波市の面白さを教えていただきました。

富山県花卉球根農業協同組合様の現場では、働く人たちが仕事の中で丁寧にチューリップを育てており、その優しい笑顔に撮影する側の私たちもほっこりとする幸せな時間を共有することができました。

なお、自主で動画制作を行う中で、音楽家の大脇錬矢様に楽曲の制作を依頼しました。短い期間にも関わらず、動画の趣旨を読み取り、静かで繊細な作業を行う農家の方々をイメージした、素敵な音楽を提供していただきました。

©︎TOKYO TENDER TABLE

©︎TOKYO TENDER TABLE