※鉄道博物館公式Facebookにて2020年8月28日に投稿された内容となります。
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常磐線には 他路線にはない 独特の特色がいくつかあります
そのひとつが、伝統的に(?) 常磐線専用ともいえる車両が製造され、投入されてきたことです。しかもその多くは少数派であったことが大きな特徴です。非電化の時代には低カロリーの常磐炭の使用を前提としたこと、電化後は直流・交流の切換セクションが上野に近い取手~藤代間に置かれたことから、通勤用も含めて交直流両用車両が必要とされたことなど、常磐線に独自の路線条件が、こうした常磐線ならではの車両を登場させた要因と言えます。
さらに国鉄時代は、首都圏の主要路線の中でも格付け的には4、5番手に位置するため、試作的要素の多い車両を導入するには都合のよい路線だったのかもしれません。東海道本線や東北本線では導入しづらい試験的要素の多い車両も、常磐線であればあまり問題なく投入できたのでしょう。沿線の日立製作所で試作された本線用電気式ディーゼル機関車・DF90形や、1台車1電動機方式を採り入れた交直流両用のEF80形電気機関車、通勤用車両への2階建て車両導入のテストケースとして1両のみ試作されたクハ415-1901などはこれに該当します。
またJR東日本発足後は、交直流両用電車については常磐線が主要な使用線区となるため、651系(のちに直流化され高崎線等へ転属)、E501系、E653系(のちに新潟地区へ転属)、E531系、E657系と常磐線メインで使用する車両が投入されています。一方、地下鉄千代田線へ乗り入れる緩行線も伝統的にレア車両が登場します。最初の地下鉄乗入用の103系1000番代(後年各線へ転属、105系に改造)、201系の地下鉄乗り入れバージョン・203系、国鉄初の、そして最後のインバータ制御電車・207系900番代、わずか2編成の導入にとどまった209系1000番代(のち中央快速線へ転属)と、他線では目にすることのなかった車両が多数使用されています。
こうしたレア車両たちも、常磐線の独自の条件、特殊性を背景に登場した車両たちであり、同線の歴史に彩りを添えた個性的な存在といえます。