常磐線 1枚の写真から vol.11


※鉄道博物館公式Facebookにて2020年8月10日に投稿された内容となります。

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昨年9月に常磐線沿線を 巡り歩いた際に 東日本大震災の遺構に出会いました。

 それは、甚大な津波被害により内陸側に新線を建設した駒ケ嶺~浜吉田間のうち、新地駅の南方で新線に切り替わる場所にありました。写真1の写真に見るように、駒ケ嶺方から直線で進んできた線路が踏切を通過して右側(内陸側)へとカーブする地点から新線が始まります。これに対して、写真奥から直進してきた線路をそのまま手前に伸ばしたライン上に小さな橋が残されています。これが移設前の旧線の入川橋梁です(S字状の道路は震災後に建設)。  この入川橋梁、近づいてよく見てみると、写真2のように津波により金属製の柵が内陸側になぎ倒され、捻じ曲げられたままとなっています。この橋は震災後に舗装され、隣の道路橋とともに後方に見える新線の建設に際して工事用道路として使用されたそうで、工事終了後もそのまま残されたようです。橋を渡った先で堤防を兼ねた道路の築堤に行き当たるため、実質的には橋としての役目を終えており、そのままの状態で今にいたっているようでした。  2016年12月に新線が開通して以降、周囲は装いを一新しており、震災の爪痕を感じさせるものは見あたりませんが、この旧入川橋梁だけが取り残されたように当時の状況を伝えています。飴のように捻じ曲げられた柵は、津波の威力の凄まじさを物語っており、あの日、この地で何があったのかを今に伝える存在となっています。