常磐線 1枚の写真から vol.13


※鉄道博物館公式Facebookにて2020年8月22日に投稿された内容となります。

※該当記事のリンクは下部に記載。


2019年12月18日は 常磐線の歴史にとって 記憶すべき1日となりました。

 この日、東日本大震災と福島第一原子力発電所爆発事故の被害よる最後の不通区間となっていた富岡~浪江間の復旧工事が終わり、試運転列車が運転されたのです。富岡~浪江間では2往復の試運転列車が運転されましたが、1往復目がマスコミに報道公開され、担当者もこれに参加しました。この段階では報道公開された地域は一般の立ち入りは禁止されていたため、許可を得ての立ち入りとなり、サージカルマスク・長靴・手袋・放射線量計を身に着けたうえでの取材となりました。  取材陣はJR東日本水戸支社の用意したバスに乗り、まずは双葉駅へ。新駅舎の建設工事や駅前広場の整備が進められていますが、工事関係者や報道関係者を除いて周辺は無人で、駅前の商店は荒れるがまま。自転車置場には多くの自転車が置き去りにされ、ここでは大震災の日から時間が止まったままとなっていることを痛感しました。  そして待つことしばし、多くのマスコミや関係者が見守る中、富岡発の試運転列車が気笛を鳴らしながらゆっくりと駅へ接近し、10時19分にホームに停車しました。大震災の発生以来8年と9ヶ月の時を経て、ここにようやく列車が走ったのです。各種設備が正常に動作するかを確認することが目的のため、ゆっくりとした速度での運転ではありましたが、復興へ向けての第一歩が記された瞬間でした。  その後、取材陣はバスで大野~双葉間へ移動し、大震災で崩落した第一前田川橋梁へ移動し、浪江で折り返してくる試運転列車を待ちます。第一前田川橋梁はもともとコンクリート橋でしたが、再建にあたっては軽量化をはかるため鋼橋とし、さらに複線だった大野~双葉間は単線化し、1線分を緊急時の避難道路に転用しました。  11時40分頃、浪江で折り返した試運転列車がやってきました。やはり低速で線路を踏みしめるように走行しています。橋の下では列車通過時の橋梁荷重の変動を計測するためのスタッフが配置されるなど、地上側にも多くのスタッフが配置されて、試運転列車の通過を見守ります。試運転列車は気笛を鳴らしながらゆっくりと通過していきました。  この日、大震災以来止まっていた常磐線の時間がようやく動き出した、そんなことを実感させられた試運転取材でした。