常磐線 1枚の写真から vol.18


※鉄道博物館公式Facebookにて2020年9月4日に投稿された内容となります。

※該当記事のリンクは下部に記載。


今回ご紹介するのは 直流電化区間の終点 取手駅のかつての姿です。


 常磐線が利根川を渡り、茨城県に入って最初の駅、取手までの区間は、戦後間もない1949年に電化され、上野から通勤形電車が運転されるようになりました。

 写真1は1959年に駅北方の線路をまたぐ道路橋から撮影されたもので、構内を見渡しています。当時は上下線の島式ホームが中線をはさんで配されていました。下りホームから取手終着のモハ72形電車が引上線に向かおうとしており、その右手には常総筑波鉄道(現・関東鉄道)の取手駅構内が広がり、DD502形ディーゼル機関車や貨車、客車の姿が見られます。駅の周辺には緑が多く、現在の駅ビルなどが建て込んだ姿と比べると、その変貌ぶりに驚かされます。


 写真2は同じ道路橋から北側を望んだ光景です。切通しの中をDF90形の牽く上り旅客列車が走行中です。DF90形は常磐線沿線に所在した日立製作所水戸工場で、1956年に1両のみ試作された電気式ディーゼル機関車で、朱色とクリーム色のカラフルな塗分けで、おもに急行「北斗」に使用されていました。その後ろには引上線に停車中のモハ72形がわずかに見え、左手には常総筑波鉄道の線路が並行しています。それにしても緑濃い切通しをはじめとして周辺には人家もほとんど見当たらず、駅を一歩離れると緑のおおわれた丘陵地帯が広がっていました。


 写真3は常総筑波鉄道の取手駅構内です。現在は駅ビルが建ち島式ホーム1本の単純な配線となっていますが、何本もの側線が延び、DD502形ディーゼル機関車や、車掌室付きの無蓋車、その後方には客車や気動車など、個性的な車両たちが並んでいます。同鉄道は1965年に現在の竜ヶ崎線と鹿島鉄道からなる鹿島参宮鉄道を合併して関東鉄道となり、非電化私鉄としては総距離、保有車両数とも全国最大となりました。常総線の取手~水海道間は非電化私鉄としては全国唯一の複線区間としても知られています。今は駅ビルが建っていますが、当時は広々とした構内でした。


 このように、直流電化区間の終点となる取手駅の60年前の姿は、今では想像がつかないような駅周辺には緑の広がる、自然に恵まれた空間でした。