常磐線 1枚の写真から vol.6


※鉄道博物館公式Facebookにて2020年7月7日に投稿された内容となります。

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装飾された401系電車と それを取り囲む多くの人々。 線路にも多くの人が降りています

 これは、今から58年前の1962(昭和37)年に高萩駅で撮影された写真です。この年の10月1日に常磐線の勝田~高萩間が電化され、交直流両用電車の運転が始まりました。401系電車の行先幕が「試運転」とあることから、営業開始前に関係者を招いて記念列車を運転した際に撮影されたものと思われます。電車の前頭部は華やかに装飾され、ホームに立つ燕尾服の来賓がテープカットを行っています。その手前や後ろには手旗を持った地元の方たちがたくさん集まっています。線路に降りた人々はマスコミ関係者でしょうか、いずれもカメラを構えています。そして電車の窓からも身を乗り出した人の顔が数多く見られます。この1枚からも常磐線の電化がいかに期待をもって迎えられたかを読み取ることができます。  1961(昭和36)年6月の取手~勝田間の電化に引き続き、この年交流電化区間は高萩に達し、さらに翌年5月には平(現・いわき)、9月には草野と着々と電化区間が伸びていきました。電化は常磐線の近代化を象徴するものであり、引いてはそれが沿線の発展につながるとの認識が広く行き渡っていたことを示す1枚と言えるでしょう。  現在も電留線があり広い構内を持つ高萩駅ですが、この写真を見ると多数の貨車が留置されています。中線をはさんだ左手には石炭を満載した無蓋車を連ねた貨物列車の姿が見られます。高萩駅からは多くの専用線が炭鉱へと延びており、茨城県北部の駅の中でも石炭発送量の多い駅でした。石炭から電気へとエネルギー革命が進んだ時期ですが、まだまだ石炭輸送で常磐線が賑わっていたことを示しています。  この写真、単に電化開通を記念した1枚と言うにとどまらず、常磐線での石炭から電気への主役交代を象徴するカットともいえるかもしれません。