介護施設に入所していた祖母の訃報が届いた時、
祖母の笑顔や声、話してくれた思い出が頭の中を過ぎりました。
「孫の写真をベッドに飾っておきたいから写真送って頂戴ね。」
いつでもできると思っていたことは、優先順位を先送りにしていました。
祖母の死は突然に訪れたんだ、と頭で理解しようとしました。
日が経つうちに、祖母の顔や声も、話してくれたことも朧げになってゆきます。
ただ、自身の写真を送るという約束を果たせていない思いははっきりと心に残っていきます。
今思い出すと、祖母と他愛のない話していたことも、その仕草も何かに残していれば、
祖母の体験した記憶を次の人へ伝えることができたのに。
私が祖母に写真を送るだけではなく、一緒に撮影していたら何か変わっていたかもしれないのに。
私の職業は、美術館の作品を保管や保存、そして公開することの助けとなることを行っていました。
その経験や故人を思う気持ちから、この「記憶のバトン」というサービスの始まりになりました。
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